2026年診療報酬改定で「みなし単位」という仕組みが導入されました。訓練以外の業務が単位として数えられるようになった——これは療法士の働きが認められたということでしょうか。それとも、別の読み方ができるでしょうか。
制度の内容を整理したうえで、メリットとリスクの両面、そして厚労省の意図を考えます。
みなし単位とは何か:制度の整理
療法士1人あたりの1日の標準実施単位数は「18単位」とされています。これまで18単位は「疾患別リハビリテーション料」と「集団コミュニケーション療法」のみで計算されていました。
今改定から、専従の療法士が疾患別リハビリおよび集団コミュニケーション療法以外の業務に従事した場合、その従事時間20分を1単位とみなして実施単位数に加えることが算定要件に加わりました。
対象となる業務は以下の通りです。
二面性:素直に喜べない理由
「訓練外の業務も単位として認められた」——一見すると療法士にとってポジティブな変更に見えます。しかし、構造をよく見ると単純には喜べません。
厚労省の3つの意図を読む
制度の言葉を表面で読むのではなく、「なぜこの設計にしたのか」という視点で読み解くと、3つの意図が見えてきます。
業務の可視化→実態把握→次の包括化、という流れが一本の線でつながっています。今回の変更は「終点」ではなく「通過点」と見ておくのが現実的です。
リハ職はどう動くべきか
みなし単位の導入を「業務が認められた」と単純にポジティブに受け取るのは、少し危険です。一方で「罠だ」と過度に構えるのも違います。
まず大事なのは、施設内でみなし単位をどう運用するかを決めることです。記録時間・移動時間を単位として計上することが、個別リハの枠にどう影響するか。管理職と現場で共通認識を持っておく必要があります。
次に、レセプト請求可否の疑義解釈が出るまで慎重に対応すること。施行(6月1日)後も随時出る疑義解釈を確認し、職能団体や都道府県の指導に従うことが重要です。
そして中長期的には、訓練外の業務が可視化されることを、専門性アピールの機会として使うこと。記録や家族指導・連携業務の質と量が見えるようになれば、「療法士はこれだけの業務を担っている」という根拠にもなります。制度をどう読むかよりも、その中でどう動くかが問われています。
- みなし単位=訓練外業務(記録・移動・家族指導・施設助言)20分を1単位とみなし、18単位の計算に加える
- 業務の可視化というメリットがある一方、個別リハ枠を圧迫するリスクも存在する
- レセプト請求可否は現時点で未確定——「みなす」と「請求できる」は別の話
- 厚労省の意図は①業務実態把握②訓練一辺倒からの転換③病棟業務への組み込みの3つが重なって見える
- 施設内での運用合意と、疑義解釈の動向注視が当面の対応として重要